今回は、神戸三宮から神戸空港を経て関西空港まで船を使って移動したときの様子を紹介します。
この船(「ベイ・シャトル」と呼びます)、神戸空港~関西空港間の乗船時間はわずか30分、しかも渋滞の心配は全くないという優れものです。何より、空港間を「船」で移動するというワクワク感がたまりません(笑)空港間移動の予定がある方は、ぜひ参考になさって下さい。
目次
三宮から関西空港までの移動手段について
まず、三宮~関西空港間の移動手段は、
- 空港リムジンバス
- 鉄道(JR三ノ宮→大阪→関西空港)
- ポートライナー+船(三宮→神戸空港→関西空港)
の3通りあります。所要時間の目安と運賃は下表のようになっています。ただし、「鉄道」は特急を使わない場合を想定しています。
手段 | 所要時間の目安 | 運賃 |
---|---|---|
バス | 1時間20分 | 1,950円 |
鉄道(特急なし) | 1時間40分 | 1,710円 |
鉄道+船 | 1時間20分 | 1,850円 |
運賃ははどれも1700円~1900円程度でそれほど変わりません。
運賃が一番高いながら一番ラクなのはリムジンバスですが、道路を走行するため渋滞の心配がつきまといます。一番安いのは鉄道(特急を利用しない場合)ですが、人混みが激しく、しかも規模の大きい大阪駅での乗りかえが意外に負担になります。特に旅行で大きな荷物を抱えている場合はなおさらです。
そこで登場!ベイ・シャトルについて
ベイシャトル利用のメリット
両者のデメリットをうまく克服しつつ、所要時間がある程度短縮できる移動手段として、神戸空港~関西空港間を就航する船「ベイ・シャトル」があります。
- 海路のため渋滞の心配がない
- 乗換駅にあたる神戸空港は大阪駅に比べると人が少ないので、鉄道よりも乗り換えの負担が軽い
というのが他の交通手段と比較した上でのベイ・シャトルの強みです。
一方で、ベイシャトルの弱みは、
- 高速艇のため、海のコンディションによっては揺れる(船酔いしやすい)
- 神戸空港での乗り換えルートが少し長い(ただ、連絡バスがあるためしんどくはない)
- 船の本数が鉄道・バスよりも少ない
という点です。
今回、私は三宮から関西空港までの移動でベイ・シャトルを利用したので、その時の様子をお伝えします。
三宮~関西空港までベイ・シャトルで移動した実際の様子
移動経路の概要
今回の移動経路の概要は下図の通りです(運賃は無視して、経路だけ見て下さい)。

ややこしげに見えますが、
- 三宮~神戸空港をポートライナーで移動
- 神戸空港で乗り換え
- 神戸空港~関西空港を船で移動
- 関西空港でターミナルまで無料循環バスで移動
という流れで移動します。空港リムジンバスに比べれば乗り換えが煩わしいですが、決して難しくありません。では、順を追って見ていきます。
STEP0:ベイ・シャトルの予約
必須ではありませんが、ベイ・シャトルには事前予約システムがあります。利用する便が決まっている場合は、事前に予約していた方が無難です。
というのも、関空発のフライトに搭乗する前にベイ・シャトルを利用する場合、予定していたベイ・シャトルが満席で乗れなかったら、関空発のフライトに間に合わないことになりかねないからです。
予約はベイ・シャトルの公式ページから可能です。予約時には支払いは必要ないので、あくまでも席の確保と連絡先の確認だけが目的の予約システムのようです。
STEP1:三宮駅で割引切符を購入
まず、ポートライナーの三宮駅で切符を購入します。ポートライナーの三宮駅は、JR三ノ宮駅の南側(海側。MINT、高速バスターミナル、そごうのある側)にあります。
入口はこのようになっています。

このエスカレーターを上がってすぐ左手にある「定期券うりば」と書かれた窓口で切符を購入します。

【注意】ベイ・シャトル利用者は窓口で割引きっぷを購入する!!
「えっ!?ポートライナーに乗るのに窓口に寄るの?ICOCAやSuicaで自動改札機を通過しちゃダメなの?」
と思われたかもしれません。はい、ダメなんです。損してしまうんです。
その損した結果が先ほどのこれなんです。

運賃が2,180円と表記されていますね。これは、
- ポートライナーに普通に乗車(ICOCAやSuica、普通のきっぷで乗車)
- ベイ・シャトル(船)乗船前にきっぷを購入し、普通に乗船
することで必要になる運賃です。
しかし、ポートライナーとベイ・シャトルをセットで利用する人向けに割引きっぷが用意されています。この割引きっぷは自動券売機では購入できないので、窓口に立ち寄る必要があるのです。

この割引きっぷは「神戸ー関空ベイ・シャトル&ポートライナーセット券」と呼ばれ、
- 三宮~神戸空港までのポートライナーのきっぷ
- 神戸空港~関西空港間のベイ・シャトルのきっぷ
を合計して1,850円です。つまり、セット券を利用すれば、ポートライナーの運賃330円が実質無料になります。
乗り物 | 通常 | セット券 |
---|---|---|
ポートライナー | 330円 | 1,850円 |
ベイシャトル | 1,850円 | |
合計 | 2,180円 | 1,850円(▲330円) |
クレジットカード支払い不可でしたので、現金で購入しました。
きっぷは専用のケースに入れてくれました。

中にはきっぷが2枚入っています。ポートライナーのきっぷとベイ・シャトルのきっぷですね。

ポートライナーのきっぷは自動改札機に対応しているので、特に難なく利用できました。
STEP2:神戸空港行きのポートライナーに乗車
きっぷを無事手に入れたら、ポートライナーに乗車します。自動改札機を通過し、ホームに上がります。
ここで注意が必要なのが、ポートライナーの行き先です。ポートライナーには
- 北埠頭行き
- 神戸空港行き
の2つがありますが、神戸空港には「神戸空港行き」のポートライナーでしか行くことができません。(北埠頭行きに乗車して途中で乗り換えることもできますが、結局は後発の神戸空港行きを待つことになるので、最初から神戸空港行きを待ったほうが賢明です。)
STEP3:神戸空港での乗り換え
さて、ポートライナーで神戸空港に到着しました。

神戸空港駅は出口が一つしかないので、階段・エスカレーター・エレベーターを使ってひとまず下のフロアに下り、改札を出ます。

改札を出ました。するとこんなものが…。
神戸開港150年とあります。江戸時代の海禁政策(「鎖国」とよく呼ばれますが、限定的に貿易は継続されているので「海禁」としています)がペリー来航に端を発する日米和親条約で終焉し、続く日米修好通商条約で函館・新潟・神奈川・兵庫・長崎が開港の対象となりました。当初は神戸港ではなく兵庫港が開港の対象となりましたが、その後の外国艦隊の調査により神戸港の方が貿易港に適しているとの理由で、1868年に(兵庫港ではなく)神戸港が開港されました。1868年といえば明治元年。神戸に洋館風の建物が多いのは、神戸港開港によって神戸の街が西洋文化と接する機会を多く得たからなんですね。

駅からベイ・シャトル乗り場への移動方法(バス or 徒歩)
さて、話がそれました。
改札を出たら、ベイ・シャトルの乗り場まで移動します。ベイ・シャトルの乗り場は駅から少しはなれており、無料連絡バスまたは徒歩で移動します。
(1)駅の外に出る
まずは駅から外に出ますが、駅の改札は2階、乗り場までの移動経路は1階なので、下に降りる必要があります。
改札を出たら左斜め前に下り階段があるので、そこを降ります。「海上アクセス」と記されているのがベイ・シャトルのことです。

階段がしんどい場合は、直結している神戸空港内のエレベーター等で1階に下ってから外へ出て下さい。

(2)無料連絡バス or 徒歩、好きな方で移動する
ここからベイ・シャトルの乗り場までは、無料連絡バスか徒歩で行くことになります。
- 無料連絡バス=2分弱
- 徒歩=5分以内
で到着します。連絡バスは船の出航時間に合わせて運航されていますが、本数があまり多くないので、「バスの出発時間までしばらく時間があるなら徒歩で」というスタンスでいれば良いのではないかと思います。
ポートライナーの神戸空港駅を出て1階に降りるとこのようになっています。

バスに乗る場合は赤い矢印の方向に、徒歩で行く場合は緑の矢印の方向に移動します。
まず、赤い矢印に沿って進んでみると、矢印のすぐ先にバスの乗り場があります。


バス停に出発時刻が記載されているので、いざバス停に着いたときに
「なんだ、まだ出発時刻まで何十分もあるじゃないか」
といった場合には、散歩がてら歩いて行ってもいいと思います。徒歩でもせいぜい5分かからない程度です。まあ、途中に何があるっていうわけでもないんですが…(笑)
さて、歩く場合は、先ほどの写真の緑の線に沿って移動します。空港の建物から離れていく方向ですね。

移動経路の全容は下の地図のようになります。

どんどん進みます。途中に何度も道案内の看板があるので、よっぽどのことがない限り、迷わないはずです。

駐車場の中を抜けていくわけですが、途中からベイ・シャトルの乗り場が見えてきます。




難なく到着です。早朝に利用しましたが、海風がすずしく、気持ちの良い散歩になりました。

(3)待合所で出航を待つ(待合所の様子)
乗船できるのは出港5分前からです。それまでは待合所で待機する必要があります。

なお、待合所には、
- 乗船券購入窓口
- 飲み物の自販機
- 自動外貨両替機
- 待合席(充電用コンセント付きの席もあります)
- テレビ(NHK放映中でした)
- 化粧室
- 船員コスプレグッズ
- バルコニー
がありました。設備が整っているうえ、とてもきれいでした。


充電できる席があるっていうのはなかなかニクいですね(笑)

バルコニーには美術の作品があるほか、出航待ちの船を見ることができます。


STEP4:乗船
乗船と船内の様子
出港5分前になると、乗船開始の案内放送が流れます。乗船券は乗船時に係員に渡します。
こちらが乗船口です。

1階席・2階席がありましたが、2階席に上がる階段が塞がれていました。
大きな荷物がある場合は1階席にいる係員に預けます。預けた荷物は1カ所にまとめられ、ロープで固縛されます(キャスター付きのキャリーケースは運航中に動くと危険ですからね…)。預けた荷物は、船が到着するとすぐに返してもらえます。
1階席の様子はこちらです。下の写真の奥は化粧室になっています。


座席はこのような感じで、シートベルト付きのリクライニングシートになっています。

シートピッチは飛行機の普通席よりは広めです。座席の下には救命胴衣が入っていました。

客室にはテレビが備え付けられていましたが、音声は流れていません。ちなみに、下の画像の中央に見えるガラスケースの中が2階席へ上がる階段です。

ちなみに…
神戸空港の駐車場に車を停めている場合、駐車券をこの機械で処理すると、駐車料金が無料になります。乗船者に対する特典です。

窓からの景色は??
さて、「どうせ船に乗るなら景色も楽しみたい」という方も多いと思いますので、窓から見える景色についても少し触れておきます。
- 左側:遠くに大阪ベイエリア
- 右側:遠くに淡路島、到着直前に関西空港
という景色です。到着直前に関空を海から見たいなら右側がいいと思いますが、しばらくは遠くに淡路島が霞んで見えるだけで景色にこれといった変化がなかったので、景色を長く楽しめるのは左側だと思います。
出航後、30分で関西空港に到着
この日は風が強く、船がそこそこ揺れました。
ただ、走っているのは瀬戸内海です。強風でもうねりはそれほど出ませんが、他の船の曳波などで揺られるような印象でした。船酔いしやすい人は酔い止めを飲んでおいた方がいいと思います。
船に揺られること30分、関西空港に到着しました。こちらが海上から見た関西空港です。なかなか経験できないアングルなので、これだけでテンションが上がりますね(笑)

到着したら、下船します。

STEP5:関西空港のターミナルまでバス移動
関西空港の港に到着した後は、無料連絡バスでターミナルまで移動します。この連絡バスは船の到着時刻に合わせて運航されており、下船後すぐに乗車できます。

桟橋を降りて
- 左側のバスが第1ターミナル行き
- 右側のバスが第1ターミナル経由第2ターミナル行き
です。左側のバスが一杯になると、行き先のターミナルに関係なく右側のバスに誘導されます。

バス出発から約6分で第1ターミナルに到着しました。私は第1ターミナルを目的地としていたので、ここで下車しました。

第2ターミナルまではここから更に10分程度かかります。
ベイ・シャトル欠航時は臨時バスが運行
悪天候によりベイ・シャトルが欠航となった場合は、代替バスが運行されます。代替バス利用の場合は船よりも時間がかかり、所要時間が90分程度となります。
まとめ
神戸空港~関西空港間の移動手段として便利なベイ・シャトルについて紹介しました。空港間の移動手段として船を使う機会はなかなかないので、「船に乗る」ことそのものを楽しみながら移動することが出来ます。鉄道やバスでの移動がマンネリ化して退屈になってしまっている方にはオススメできる交通手段です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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